なおやのマルチな経験共有スペース

視覚障害による移動の困難をITで解決する



みなさんこんにちは。盲目のマルチプレイヤーの直也です。
今回は視覚障碍者の移動関連記事の2回目です。
最近はスマートフォンが発達してきたおかげで、事前調査ができるようになりました。
また、当日GPSを使って歩行の助けをしてくれるアプリが多数登場しています。
今回は、視覚障碍者の移動をITで解決すると題し、出かけるときに使たほうが良いアプリについて紹介します。
なお、移動の困難をコミュニケーションで解決すると題した
こちらの記事
を先に読んでいただくことをお勧めします。

事前の準備:交通手段を調べる

みなさんは、出かけるときにどのくらい準備をしますか?
「待ち合わせ時間はなんとなく決まっていて、たぶん2時間ぐらいかかるから、これぐらい早めに出ればいいかな?」
とざっくり考える人、
「待ち合わせ時間の5分前につく電車を調べておこう」
いった感じで事前に準備をする人など、それぞれやり方はあるとおもいます。
ですが、視覚障碍者は大前提、路線図や時刻表を簡単に確認ができないので、よっぽど余裕がない限りは事前に調べておくことになります。
わたしも、普段出かけるときは事前に電車の時間を調べておきます。その場所に行くのが2回目・3回目になってくると、だいたいどれぐらいかかるかの予想がついてくるので、電車の時間は調べなくなります。
事前に交通機関の時間を調べておくと、そこに逆算して動くことができるので便利です。
その調べ方をご紹介します。

乗り換え案内系のアプリで目的地までのルートを調べる

最近では乗り換え案内に対応したアプリが増えてきました。
乗り換えナビタイム、ヤフーの乗り換え案内などです。
これらのアプリは、搭載機能にすこしのずれがありますが、もとは同じです。
出発地と目的地、必要ならば経由益を入力。何時に出発するか、あるいは到着したいかを入力して検索すれば、適切な電車を教えてくれます。
アプリによっては、何両目に乗れば乗り換えをしやすいかまで教えてくれます。
また、アプリのいいところは、徒歩の速度を調整できる、何本か前まで表示できる点です。
たとえば、乗り換え時間が5分と設定されていて、5分じゃできないなと思ったら、1本前を見ればいいのです。そうすれば、1本前にはこの時間についているから、乗り換えに何分かの余裕がさらにできたことがわかります。
それで乗り換え時間が早まったとしても、1本早い電車に乗るだけなので、たいした痛手にはなりません。

バスや徒歩ルートはマップアプリで

乗り換え案内は、電車に対応したものが多く、地元のバスや徒歩ルートには対応していないことがほとんどです。
その場合は、マップアプリを利用しましょう。
わたしは、もっぱらグーグルマップを使用しています。
グーグルマップであれば、地元のバスの情報や、最寄り駅からの徒歩ルートを調べることができるので、楽です。
グーグルマップの使い方は後述します。

当日:安全に目的地に向かう

事前の準備をしっかりして当日です。
準備をしつつ、当日の使い方が移動をどれだけ楽にするかを左右します。
これから紹介するものは、同時に使わなくて良いものもあります。
自分が必要なものだけを使ってみてください。

駅員さんの案内を使用する

昨今の視覚障碍者のホーム転落事故の影響を受け、各鉄道会社では積極的に駅員さんが乗車・降車の案内をしてくれます。
これであれば、晴眼者というだけではなく、その駅に精通した人が案内をしてくれるので、安全かつ確実に目的地にたどり着くことができます。
駅員さんが案内できるエリアには限りがありますが、少なくとも改札までは安全です。
わたしは、急いでいるときはよく案内を使用していました。また、駅が複雑だとわかっているときも同様です。
どこの出口に行きたい窯で教えれば、場合によっては出口まで案内してもらえるので、間違った出口から出て迷うことを防げます。
しかし、この方法には一つだけ問題があります。
それは、駅員さんの状況によっては長時間駅で待たされてしまうことです。
これは一定の路線で顕著ですが、案内用の駅員さんの手配に時間がかかり、たまに思うのは、一人で探しておいたほうが早く着くのではないかという時もあります。
そのため、時間が急いでるから駅員さんを使うという方法はあまり現実的ではないかもしれません。
それよりは、複雑だからとか、単独歩行の経験があまりないからという理由で駅員さんのサポートを利用したほうが、余計な不満を感じずに済みそうです。

早めに家を出て、一人で歩いてみる

これが、駅員さんを使わずに移動する方法です。
意外と、ネットで調べていると何両目に乗れば階段が近いみたいな情報は出てきます。
最近の電車はドアに点字で何号車南蛮ドアの表示がありますから、それをうまく使っていきましょう。
ちなみに、ぼくが本当に困ったときは、あえて一番前か一番後ろにのります。
こうしておけば、まず降りてどっちに行くかという悩みをなくせるからです。
そして、歩いてるときにもう一つポイントになるのが、手すりの表示です。手すりの点字表示を見れば、階段を上り下りした先に何があるかを知ることができます。
あるものはぜひ使っていきましょう。

最寄り駅についたらグーグルマップ

最寄り駅についたら、いよいよグーグルマップの出番です。
グーグルマップの良いところは、リアルタイムに進んでいるルートがあっているかがわかるところです。
ただし、たまにですが、グーグルマップ通りに行ったら逆に遠回りになってしまったということもあります。
それは、その目的地に何度も行ってから、近道をできるルートを覚えて行けばいいと思います。

どこの出口から出るかは事前調査をする

駅員さんに案内を頼むところでも述べましたが、駅は複雑で、出口が複数あるところがあります。
その駅で事前調査をせずに別の出口から出てしまうと、道に迷うだけでなく、なんともいえない感覚に襲われます。
インターネットで調べる、駅員さんに聞く、目的地に電話するといった作戦で、出口の場所は把握しておきましょう。
これは前回のコミュニケーションの記事につながることですね。

歩くときは、コンパスを使用する

グーグルマップを使用すると、最初に出てくる表示は、「西に進む」などです。
「西とはどっち?」となると、混乱してしまいます。
私は、まあ駅から出たら右か左しかないでしょうと思って、どちらかに進んでみて、後述する方法で道があってるか間違ってるか調べて動くタイプなので、コンパスはあまり使いません。
それでも、アプリとしてあるのだから、使うのは有効です。
ただし、使う時に気を付けなければいけないのは、コンパスアプリの使い方です。
端末のどちら側を基準に、東西南北を判断しているのかは確認しておくといいでしょう。
これをしないと、実は逆に進んでいた、なんてことにもなりかねません。
まあ、その場合は表示を見ていればすぐに気づくことなので、この後の内容もしっかり読んでいただければ痛手にはなりませんが。
でも、移動するのはスムーズなほうがいいとおもうので、コンパスを使う場合は、基準を調べておきましょう。

表示をこまめに確認し、方向があってるか間違っているかを念入りに確かめる

ここが、グーグルマップを使う上で一番のポイントです。
グーグルマップでは、
「30メートル先、横断歩道を渡る」
などの表示が出ます。そして、その表示は、リアルタイムに変化していきます。
そう、リアルタイムに変化していく、という事実が大事です。
つまり、ちゃんと進んでいれば表示は20メートルに減るし、逆に行っていれば40メートルになる。どちらにも行っていなければ、30メートルのままです。
これを使わない手はありません。
あと、もう一つ重要なのは、目的地までの予想時間です。
それが減っていれば、確実に目的地に近づいている証拠です。
たまに、駅員さんに目的地までの生き方を聞くと答えてくださるときがあります。
しかし、その行き方はグーグルマップが想定したものとは違う行き方であるときがあります。
そんなとき、何メートル進むの表示は変わっていないけど、目的地まで淘汰酢する予想時間が5分から3分に減っていたとわかれば、
「あ、グーグルマップが示したやりかたではないけど、目的地に近づいてるんだな」
と理解して安心して進むことができます。
この二つの情報をうまく使って、目的地の周辺まで行くのが、ITを使った視覚障碍者の単独移動です。

途中で人に声をかけられたら画面を見せて目的地を伝える

これも、グーグルマップを使う利点なのですが、道がわからないとき、もしくは歩いている途中に誰かに声をかけられたとします。
そしたら、行きたいところを伝えたうえで、グーグルマップの画面を見せましょう。
相手がグーグルマップをよく知っている人であれば、その場所まで連れて行っていただけることもあります。
どうしても、視覚障碍者と晴眼者では道の覚え方が違うため、視覚的に提示してあげたほうが、うまく伝わりやすいです。
どうせマップを使って歩いているのですから、画面をしっかり使いましょう。

案内が終了したら目的地に電話をかけて探してもらう

これは、グーグルマップの案内は、その場所の近くに来たら終了してしまうので、場所がわからなかったら、目的地に電話しよう、という話です。
グーグルマップでだいぶ近くにきているので、電話して探してもらえば、すぐに担当の方に見つけてもらえます。
もちろん、それらしい建物がそれしかないのであれば、ドアをたたけばいいとおもいます。

まとめ

ここまで、ITを使った移動について解説してきました。
しかし、ITだけで移動を解決するのは困難です。
この記事を書きながら、結局はコミュニケーションだな、と思いました。
ITとコミュニケーションを使いこなし、たくさんの外の世界を知ることができる視覚障碍者が増えればいいなって思っています。