みなさんこんにちは。盲目のマルチプレイヤーの直也です。
最近、ヤフー知恵袋を拝見したところ、
「視覚障碍者でも声優になれるか」
という質問を立て続けに見かけるようになりました。
私が活動を始めて早4年。状況はすこしずつ変わり始めてはいますが、それらの質問に対する答えは、
- 絵を見れないから難しい
- 台本を見ることができないから難しい
- そんな事例聞いたことない
と、質問者にとっては心の遺体現実を突きつける結果になっています。
そこで、私が今まで行ってきたこと、ぶつかった壁などを連載することによって、そのような方々に光と今後必要なことを伝えていきたいと思い、このブログで連載を始めていきたいと思います。
私もまだまだ後輩に負けるつもりはありませんが、後に続く人たちが出てきてくれるのはとてもうれしいことなので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
まずは私のことを
初回である今回は、本題に先立ちまして、まずは私のことを話しておこうと思います。
障害の程度や声優を目指し始めたきっかけ、そして、冒頭にも書きましたがこの連載にかける思いをつづります。
一人でも多くのみなさまにこの記事が届きますように。
障害の程度とか
私は生まれつきの全盲です。障害者手帳的には、視覚障害1球です。
現在25歳ですが、だいたい二十歳ごろまでは色と光を認識することができました。
色の判別についてはほとんど問題もなく、ふつう学校に通っていた時代、色だけでカードゲームをするほどでした。
余談ですが、遊戯王のカードは、モンスター、魔法、トラップで色が違うんです。そのため、まずカードを確認して、
「紫だから罠カード。今はモンスターが欲しいから置いておこう」
みたいなこともできるほど、色は見えていました。
ところが、ある日突然、いつものように信号の色を見て渡ろうとしたら、赤から青になっていたことに気づきませんでした。そう、その時に、自分は持っていた色覚と光覚を失ったことに気づいたのです。
ひょっとしたら、あのまま色と光がわかっていれば、キューランプだったら見えていたかもしれませんね。
とはいえ、そんなに困ってはいません。たしかに、色と光がわかっていた分、花の美しさだったり、電気がついてるか消えてるかだったりがわかって助かったこともありました。
それでも、なぜかわからないのですが、全くと言っていいほど絶望的な気持ちを感じていなかったんです。母からもびっくりされました。
というわけで、声優活動をするにあたり、視覚的な要素は何も使用できません。すべて、視覚以外の感覚を使って挑んでいます。
声優を目指し始めたきっかけ
私はもとから演じることが好きでした。小学校の学芸会では進んで役を取りに行ったり、音読の宿題で頑張って感情をこめて読んだり。ともかく、キャラクターを演じることが好きでしたね。
ちなみに、子供がよくやりがちな物まねもめちゃくちゃやってました。まあ、先生とか親とか3次元の人間ではなく、アニメのキャラクター等の2次元のキャラクターが中心でしたが。
しかし、中学の時、文化祭の演劇のキャストに挑戦しようとしたのですが、自分が受けを狙いに行ったのと、私を舞台で使う方法が先生には見当たらないという理由で、キャストではなく生演奏のギター担当になりました。
その時に、動きがある役だと全盲では難しいということを思い知りました。
ですが、アニメの話をしていたときに知ったんです。アニメは声優さんは声をていきょうしているだけで、動きはないと。
これならできると思いました。
そのあと、短期セミナーに参加したり、オーディションを受けたり、いろいろなことを経て声優になるわけですが、声だけの演技だからこその難しさも感じつつ、声優という職業を手に入れられてよかったと感じています。
ちなみに、もうひとつ、声優を目指し始めた理由として、あまりちやほやされる学生生活を送ってこなかった自分が、アニメに出れば、かっこいいと言われるかもしれない、なんていう夢とはかけ離れたものもあります。
まったく、下手したら、「もてたくてギター始めたけど全然だった」という人みたいになるところでした(笑)
まあ、そのほかにも理由らしい理由はたくさんありますが、一番もとになっているのはこのふたつかなと。
この連載にかける思い
冒頭でも述べましたが、最近、視覚障害を持ちながら声優を目指そうとする人が増えているようです。ここ1年の間に、知恵袋で2件の投稿を見つけました
それだけではありません。2017年ごろから、いろいろなルートをたどって私のことを知った人たちから、
「私も視覚障害があるが声優になりたい」
という相談を何件か受けるようになりました。
いろいろな方の相談を受けていて感じるのは、どうすることもできずに行動できていないということでした。
ある人は、大手の養成所に入学をしようとして視覚障害を理由に断られ、
ある人はそもそもそんなことができると知らずに行動すらできなかった
ということのようです。
私もたくさんの事務所に断られました。親や周囲からは、たぶん難しいと言われ続けていました。
ですが、今年で活動4年目を迎え、すこしずつ仕事をいただけるようになっています。
そこで、知らなかったから夢をあきらめたという人が一人でも減るように、この連載を行うことにしました。
オーディションのこと、養成所でのこと、事務所は行ってからのことなど、今までのすべてを公開しようと思っています。
もちろん、壁もたくさんありました。何度自分の足りないところを指摘されたかわかりません。それが表現力的なものなのか、視覚障害ゆえのものなのか。どちらもあります。
正直、これを書いている今でも、立ちはだかる壁はたくさんあります。とりあえず、今はひとつひとつ乗り越えていくしかないのかなと。
きっと、この連載を書いている間にも進捗がありそうです。それらも含め、惜しみなく公開出来たらいいなと思います。
また、連載の途中で質問が来ましたら合わせて解凍しようと思っています。
この記事が、同じような夢をもった仲間が同じ道を歩むサポーターになり、
私が夢をかなえた証明になるように書き綴っていきます。よろしくおねがいします。
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